- ニュースハノイホーチミン
- 2022/06/01
ベトナム日本人材開発インスティテュート(VJCCインスティチュート)は、中小企業開発支援センター2(SMEDEC2)と共に、「サステナビリティ・トランスフォーメーション(SX)セミナー」を開催しました。
2022年5月27日(金)、VJCCインスティチュートは、中小企業開発支援センター2(SMEDEC2)と共に、「サステナビリティ・トランスフォーメーション(SX)セミナー」を開催しました。SMEDEC2とは、その前日に、ベトナムの人材育成開発分野における協力協定を締結したばかりでした[1]。今回早速両者主催による共同セミナーがオンラインで行われ、約65名のビジネス関係者や公的機関の関係者等が参加しました。
まず、1人目の講師は、VJCCインスティチュートが招いた、PwCジャパングループ サステナビリティセンターオブエクセレンス・テクニカルリードの磯貝友紀様です。磯貝氏は、「サステナビリティ経営の実現に向けて。SX(サステナビリティ・トランスフォーメーション)の時代」と題した講演を日本から約1時間ほど行いました。
近年、気候変動問題の悪化等を背景に、ESG投資やサステナビリティマネジメントを推進する金融機関や企業が世界的に増加しています。また、サステナビリティマネジメントにおいて企業が取り組むべき環境・社会問題は、リスクマネジメント分野から事業成長分野へと拡大しています。日本や海外でもサステナビリティとSDGsを経営戦略に盛り込む動きが加速していますが、現在、これに取り組んでいる企業はまだごくわずかです。しかし、この傾向は今後間違いなく不可欠になることが予測されるため、この傾向を見逃さないように準備しておくことが重要だと考え、今回のセミナーを企画しました。磯貝氏は昨年「SXの時代 ~究極の生き残り戦略としてのサステナビリティ経営」という著書を日経BP社から共著で出版され、本件につき広く啓蒙しています。
磯貝氏は同講演で、サステナビリティ経営がなぜ必要となるのか、そのために我々は何を準備し、心がける必要があるのか等につき、具体的事例を元に説明を行い、講演後に行われた参加者との質疑応答についても、明確にその課題と重要性につき、アドバイスを行い参加者から大変好評を得ました。
2人目の講演者は、SMEDEC2の専門家であるグエン・ティ・ナム氏です。同氏は、「グリーン生産性(GP/Green Productivity)」についての講義を行いました。ナム氏は、グリーン生産性は、既存の資源を有効に活用し、労働生産性を向上させながら、環境汚染を削減するための予防戦略であり、主にプロセスとそれに関連するインプットの削減に重点を置いている、と説明しました。ナム氏は、ベトナムでのこれまでの生産性についての歴史と課題についても説明を行い、今ベトナムが取り組む必要があるもの、未来に向けての課題や方針等についても豊富なデータを提示しながら、わかりやすく説明を行いました。また、具体的な事例も提示し、グリーン生産性に取り組んだ企業が生産性を落とすことなく、18カ月間の取り組みで約1億円も節約できた事例も紹介し参加者の関心を集めました。
その後、本セミナーをVJCCインスティチュートと協力して開催した、南部経営塾クラブ[2]のメンバーである、経営塾第8期生のクァク・トゥアン氏が、自社が製造する竹の繊維で作った靴下等を紹介し、また、プラスチック廃棄物等を同社の靴下と交換する社会的責任活動(CSR活動)等についても紹介しました。竹の繊維で製造された靴下は、抗菌性に優れ自然に分解することが可能です。同社は環境に優しい製品を製造することに誇りを持ち、排出量削減にも貢献していることに喜びを感じると述べました。同社の発表については、参加者から同社の竹の繊維を使ってプラスチックに変わる包装材を作れないか等の問いかけもあり、参加者の間で、環境に優しいビジネスを実施していくことの課題や挑戦について活発な議論が行われました。
最後にVJCCインスティチュートから近日中に実施予定のビジネス研修等についての説明と宣伝を行い、同セミナーは閉会しました。
参加者からは、話題性のあるトピックで大変実用的だった。今後のビジネスに役立てたい、といった意見が多く寄せられました。
VJCCインスティチュートでは、今後も皆様に役立つ先進的な課題やトピックにつき、各種研修やセミナーを通し、お伝えしていきます。
[1] ホーチミン市のベトナム日本人材開発インスティテュート(VJCC-HCMC)は、中小企業開発支援センター2(SMEDEC2)と協力協定を締結しました。(https://www.vjcchcmc.org.vn/ja/news/mouwithsmedec2/)
[2] 経営塾クラブとは:約10か月間にわたる経営塾(VJCCインスティチュートが実施するベトナム企業経営者・幹部に対して、企業経営に必要な実践的な知識を、約10ヶ月かけて学ぶ、体系的な研修制度)を修了した企業は、経営塾の同窓会組織「経営塾クラブ」のメンバーとなる。クラブメンバーの価値を高めることと情報共有を目的として、自主的に「経営塾フォローアップセミナー」を開催するなど、活発に活動を展開。同クラブ企業の内訳は、機械、電子部品、プラスチック製品、鉄鋼製品セメント、食料品製造等の製造業者が過半数を占める(2022年5月現在、在講生含み795名、540社が在籍)。